2015.07.09 UP

福祉分野のマネジメントを担う人材をめざして

人間社会学部福祉コース『介護福祉士プログラム』

日本は世界のどの国も経験したことがない「超高齢社会」に突入しました。2015年6月25日、厚生労働省は10年後の2025年で必要な介護職員が全国で253万人と見込まれているのに対し、確保できる数は215.2万人として、37.7万人が不足するおそれがあると発表しました。
今後、人口が減っていく日本では労働者も減り、今後の介護人材確保は大きな問題となっており、特に労働環境の改善急務が求められています。
質の高い安定した施設の運営と医療・福祉サービスの提供には、専門的な知識と技術で介護ができるだけでなく、現場を指導、マネジメントができる人材が必要です。このような社会の要請に応えるため、人間社会学部福祉コースでは介護福祉士を養成するプログラムをスタートしました。

高まる介護の需要に応える人材育成

新しい福祉、介護のあり方を考えながら、一人ひとりの状況に応じた介護、生活や社会活動の支援とともに、サービスの質を向上させていくためには、専門的な介護の知識と技術を持つ介護福祉士の役割がますます重要になってきます。簿記や福祉関連の資格を取得し、福祉に携わる公務員や福祉関連施設のマネジメントを担う人材の育成に取り組む人間社会学部福祉コースでは、在学中にこの資格取得をめざすプログラムを開始し、2015年1月から10人の学生が施設での業務に従事しています。

実務経験による受験をめざし、施設での就労を開始

介護福祉士の試験を受験するためには、対象となる施設及び職種での従業期間(3年(1095日)以上)、従事日数(540日以上)の要件を満たす必要があります。学生たちは、医療福祉分野の経営管理者として活躍する人材育成をめざして教育連携協力協定を結ぶ湖山医療福祉グループの施設で実務に励んでいます。
大学での授業履修と、介護福祉現場での実習の両立です。
施設での就労にあたり、心構えや基本的な仕事の内容について学んだ学生たちは、施設の清掃やリネン交換といった仕事からはじめ、利用者への接し方などを現場のスタッフの働く姿から積極的に学び取っています。大学での授業と介護実務を両立する多忙な日々を送りながら、少しずつ仕事にも慣れ、食事、移乗、入浴、排泄の介助などにも携わるようになりました。

  • オリエンテーション
  • 介護実務

介護の現場から社会を学び、広い視野を養う

現場で介護のスキルを高めながら、学生たちは施設のスタッフや利用者との関わりを通じて、社会を学び、広い視野で物事を見る力も身につけています。大学の授業で学んだ知識を現場で実践して気づいたこと、疑問に思ったことは、大学に戻って質問したり、調べたりすることで確かなものとなり、日々成長を続けています。「頑張っているね」「ありがとう」といった利用者の声を励みに、より一層積極的に取り組む様子が見られるようになってきました。

  • 介護実務
  • 介護実務

介護福祉士として活躍する将来に向かって

このプログラムの目標である在学中の資格取得のためには、4年次の1月に行われる試験に間に合うように、受験資格を得なくてはなりません。それにはまだ2年以上の期間が残っています。その間にも福祉や介護はニーズに応じてどんどん変化し、介護福祉士への期待も高まっていくでしょう。2025年を目途に地域包括ケアシステムの構築を推進する動きが活発になる中、介護実務の経験を通じて資格取得の目標を達成すること、さらには、その先のキャリアを具体的にデザインしながら、介護福祉士として活躍する将来の夢を実現する学びは続きます。

  • 福祉コース

学生の声

蟻田さん

施設での介護実務の内容は、食事介助、口腔ケア、移乗介助、オムツ交換、リネン交換などです。最初はうまくできなかった移乗介助も、被介助者の膝を90度に保つこと、体を密着させることで負担を軽減できるなど、実践してみて分かることがたくさんあります。普段から何が介護に役立つかを考えるようになり、より意欲的に取り組むようになりました。
施設を利用する方々、職員の方々が明るく、現場でのコミュニケーションがとても楽しいです。

人間社会学部 蟻田 純平(忍岡高校出身)

平良さん

高校から福祉を学んできましたが、より実践的なスキルを身につけるため、このプログラムに参加しました。在学中に施設での実務経験の期間と日数を満たし、介護福祉士の受験資格を得るために頑張っています。
現場では時間も重要で、丁寧なだけではなく素早く仕事をすることを心がけています。業務の目的や内容を理解し、仕事ができているかどうかを確認する「一人立ちチェックシート」の項目が全てハンコで埋まった時は本当に嬉しかったです。

人間社会学部 平良 延大(千葉学芸高校出身)

担当教員の声

このプログラムは資格取得だけが目的ではなく、その専門性をどう活かせるのかを考えながら実務を経験することが大切です。高齢者支援制度の理解と具体的な支援策、高齢者を取り囲む地域社会とどう関わっていくかなど、資格取得の先を見据え、包括的に学んでほしいと思っています。
プログラムの開始以降、介護の現場から学ぼうという姿勢が顕著に現われています。言葉遣い、表情、立ち振る舞いに変化が見られ、とくに、自然な笑顔を見るたびに対人援助ができていることが感じ取れます。

人間社会学部 教授 和田 義人

和田 義人 教授

湖山医療福祉グループ職員の声

介護福祉の業界におけるマネジメント人材は、これからの社会に必要な人材です。学生には介護の現場を体験し、そこで働く職員の状況を知っておくことで、将来の管理者としての土台を築いてもらいたいです。現在は、清掃や寝具の交換などが中心ですが、学生が真面目に、ひたむきに取り組んでいる姿は、利用者からも感心の声が寄せられています。また、私たち職員にもよい刺激になっています。

グループ統括本部 係長 伊藤 昌洋さん

伊藤さん

介護福祉士とは

介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法により定められた介護・福祉分野の国家資格です。 介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行います。
介護ニーズが増え続ける超高齢社会では、介護職における唯一の国家資格として社会的ニーズの高い資格です。