復興支援インターン

東日本大震災の被災地支援から社会の課題解決方法を導き出す

社会生活における問題の解決に適切な助言や援助を行うソーシャルワーカー。人間社会学部にはこの仕事をめざす学生たちがいます。社会の要望や人々のニーズを把握し、解決方法を導き出す力を養うため、多岐に亘る分野での実践的な活動と人々との交流を積極的に行っているのが、勅使河原隆行准教授のゼミナール。中でも、東日本大震災の被災地の復興や避難者の支援など、今後も日本全体で取り組むべき課題を理解し、その解決策を考え実践する活動を続けています。2016年2月から3月にかけて、学生9名が宮城県内の被災企業で職業体験を行う「復興支援インターン」に参加しました。

復興支援インターンとは?

全国の大学生が被災地や被災企業の現状をはじめ、復興の進捗や復興の課題などを学び、自らの体験を広く発信することにより、震災の風化・風評の抑制、復興支援に取り組む人材の育成や、被災地産業および被災地全体の振興に寄与することを目的としたものです。東日本大震災後、学都仙台コンソーシアムに加盟する大学・高専等が宮城県や県内の自治体等と協力して東北の復興と新生に向けた事業を推進するために設立された「復興大学」が主催、復興庁宮城復興局等が共催で実施しています。復興支援インターン

報道されない本当の東北、自分たちの目で被災地の現状を確かめる

復興は進んでいるのか?

復興支援インターン1東日本大震災の発生から5年を迎えようとしていた2016年2月、「復興支援インターン」に参加するため、勅使河原ゼミの2年生(当時)9名が宮城県に到着。石巻市と女川町にある水産加工会社と商店街の3ヶ所で、全7日間のプログラムを行いました。
現地を訪れる前は「復興は進んでいるだろう」と想像する学生たちがほとんど。最近の報道は復興の明るい話題が中心になりつつあり、年月が過ぎれば被災地への関心が薄れつつあるのが現状です。報道を頼りにするのではなく、復興の進捗や解決すべき課題などを知るのは、現地に足を運び、直接話を聞くことに他なりません。勅使河原ゼミの学生たちは、被災地の今を自分たちの目で見て、これから何ができるかを考えたいという思いからインターンへの参加を決めました。

被災地の課題は基幹産業の回復

インターンを受け入れる企業の多くが水産加工会社です。津波の被害を受けた沿岸地域では、基幹産業の水産加工業が壊滅状態となりました。懸命の努力と再興への支援により、新施設の整備が進んではいますが、今も当時の売り上げの回復には至っていない状況です。途切れた販路を開拓し、不足する人手の確保などが復興の大きな課題となっていることを働きながら学ぶことが復興支援インターンの特長です。
2日間の研修の後、各活動地域へと入った学生たちは、石巻市の株式会社木の屋石巻水産で4名、女川町の株式会社ヤマホンで3名が、4日間のインターンを行いました。生産ラインで缶に具を詰める作業や計量などを行い、工場の方々から震災時の状況や復興までの道のり、再建した施設で作る商品へのこだわりなどを聞くことができましたが、当時より規模が縮小し、建物は直すことはできても人々の心はまだまだケアが必要だということなど、現地を訪れたからこそ分かったことがたくさんありました。

復興支援インターン2復興支援インターン3

人と繋がる商店街

一方、石巻市には被災した店舗を集めて作られた仮設商店街「立町復興ふれあい商店街」があります。飲食店、青果店、菓子店、化粧品店、家電店、理容室などさまざまな商店が軒を連ね、2011年12月から営業しています。この中のパン屋「パオ」では、2名の学生が接客や販売などを行いました。
当初はメディアやボランティアの来訪が相次いだこの商店街も、2016年10月の閉鎖がすでに決まっています。学生たちのインターン期間中も閑散とした風景は、訪問前に想像したものと大きな違いを感じずにはいられませんでしたが、ここが訪ねてきてくれる人々との出会いの場となり、再会の場になっていること、頑張っている姿が恩返しになるという思いが営業を続ける力だという店主の言葉に心を打たれました。

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被災地へ橋を架け続ける

各地での活動を終えた学生たちは、最終日に職業体験からの学びなどについて報告会を行い、大学に戻ってきました。被災地にまだ残る震災の爪痕は、復興が進んでいると思っていた訪問前の考えを変え、これから自分たちが被災地のためにできることを具体的に実践していく思いを強くしました。
3月には勅使河原ゼミが企画・運営する自主避難者を対象とした交流イベント「ままカフェ@千葉商科大学」で、パオのパンやラスクを提供し、6月には木の屋石巻水産、ヤマホンの缶詰を組み合わせた「復興支援丼」を考案し、学食で販売しました。また、学内外で自らの体験を発表するなど、被災地に関する情報を発信しています。このような取り組みが、震災を忘れず、一人ひとりが復興に協力するきっかけとなることを願いながら、被災地へと繋がる橋を架け続けていきます。

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学生の声

鈴木さん情報発信の継続が支援になる!
5年も経てば復興は進み、避難した人々も大半がまちに戻ってきている、というイメージを持って現地に向かいましたが、更地のまま手つかずの場所が残るまちの風景に衝撃を受けました。復興はまだ進んでいないというのが実感で、まだまだ皆さんの協力が必要です。インターンを通じて学んだことは、さまざまな機会を活用して発信していきたいと思っています。現地まで行かなくても、被災地の商品を購入することでも支援になります。一人でも多くの方々に被災地を気にかけてもらえるように、私たちも商品の紹介やパネル展示などを継続的に行っていく予定です。
鈴木健太(佐倉西高校出身)

成田さんどんなことでも被災地のために行動を!
年月の経過と共に、震災は忘れられていき、震災が起きたことを知らない世代も生まれてきています。前向きに進んでいると思っていた被災地の復興も、現地を見ればまだ時間がかかると感じずにはいられませんでした。インターンを終えた今、たとえ小さなことでも被災地のために行動することを考えてほしいと思っています。人もまちも深い傷を負った震災の事実を忘れず、それを語り継いでいくことも支援だと思います。今も被災地で笑顔を絶やさず頑張る人々の姿に、ちょっとのことでくよくよしてはいられない!と気持ちを入れ替えました。
成田友莉亜(佐倉東高校出身)

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