2017年9月「省エネを推進する “ハートウェア”の形成へ」

2017年9月30日

原科幸彦学長 皆さま、こんにちは。9月も下旬になり、本学も秋学期が始まりました。夏休みを有意義に過ごした学生たちがキャンパスに戻って勉学に励む姿、また、読書やスポー ツに最適な本格的な秋の訪れを楽しみにしているところです。

学長コラムでは、前回まで4つの学長プロジェクトについて紹介してきましたが、中でも「自然エネル ギー100%大学」をめざす取り組みは、私たち一人ひとりが省エネの意識を持ち、行動すること、日々の心がけがその実現をより早く、確実にすることは言うまでもありません。私は全学的な省エネの更なる推進を、 「ハートウェア」の形成に求めています。今回はこのハートウェアについてご説明したいと思います。

ハートウェアとはいったい何でしょう? 思い付くものはありますか? ハードウェア(以下、ハード)とソフトウェア(以下、ソフト)ならご存知かと思いますが、これらはコンピュータ・テクノロジーの用語です。ハードはコンピュータ本体、プリンタなどの周辺機器といったコンピュータの物理的な装置を指すのに対し、ソフトはコンピュータに対して何らかの処理を行うプログラムのことです。ハードとソフトの概念は、現在ではコンピュータに限らず、さまざまな分野で取り入れられています。省エネに関しては、LEDライトやエネルギーマネジメントシステム(EMS)を構成する各種機器などがハードであり、省エネのノウハウ、それを標準化したマニュアルなどがソフトになります。ソフトの整備や普及によって、ハードの性能の向上やコストの低減ができれば、省エネはより一層推進されていきます。しかし、ハードとソフトを連携し省エネの効率や効果を高めるのは、エネルギーを使用する私たちの心の持ちよう、意識にほかなりません。環境を配慮した具体的行動につながる意識、それを私は 「ハートウェア」と呼んでいます。

本学は日本初の「100%自然エネルギー大学」をめざ すという大きな挑戦において、ハード面ではメガソーラー発電所、ソフト面では環境・エネルギーおよびその関連分野の専門的知見を有する教員やその下で学ぶ学生たちともに、私たち一人ひとりが継続的に省エネに取り組む意欲、ハートウェアを形成することが、社会に影響を与える先進事例としての成功の鍵となるでしょう。

学長ゼミ先日、私が指導する学長ゼミでは、学生たちが学内における節電活動の提言を英語で発表しました。提言の内容を紹介すると、1つ目は学内のエネルギーの無駄調査を行い、スマートフォンアプリを通じてその状況を報告するというもの。スマホがあれば誰でも簡単にでき、収集したデータの分析を次の行動に役立てることが可能です。2つ目はお昼休みの空き教室を利用した省エネの推進です。これは実際にお昼休みの教室利用状況の調査結果に基づいたもので、学食を利用していない学生数の把握から、その人数に見合う教室を限定して利用できるようにします。また、季節によっては屋外にテラス席を設けることも提案していました。3つ目は学内のエネルギー使用状況や省エネに関する情報などをメールマガジンで定期的に配信するというものです。このような情報を配信した時は節電率が高まったという他大学の例を引き合いに、気づきを 与えていくことで省エネに繋げようとしています。どれも素晴らしいアイデアで、学生たちの間に節電の意識が広がりつつあることが感じられました。この意識こそ、ハートウェアです。アイデアから具体的行動への展開を期待したいと思います。

「100%自然エネルギー大学」の実現は、本学が取り組むエネルギーマネジメントの成果を社会に広めることで、持続可能な社会づくりへの貢献をめざしますが、社会を動かす、社会を変えるさまざま取り組みに不可欠なのはハートウェアです。それは、教育を通じて形成されていくでしょう。省エネはもちろん、本学には社会のさまざまな問題に対応した幅広い学びの分 野があります。企業の財務会計や経営管理、公共政策、新しいサービスの創造など、どの分野でもより良い社会、持続可能な社会づくりを意識した取り組みが求められていますが、本学はハートウェアの形成に繋がる学び、活動の機会をたくさん用意しています。